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ジョニーは詳しい説明もしてやらず、業務を甥に託すと階段を下り、空き瓶を持って外に出た。そのまま港を見回す。一分一秒に左右されているはずのフェリーやタグボートや艀はやけにのんびりとした様子で波止場近くに浮かんでおり、それと比べると周囲を行ったり来たりしている男たちの動きは妙にせっかちに見える。空は青い。しかし青いと言っても抜けるような青空ではなく、言ってみれば大気が海水を含んだような、どこか湿っぽさのある空だ。微かに霧も出ているようである。
家に向かって歩き出しかけた時、ジョニーは木製の小さな桟橋に目を留めた。その上で、小さな影が僅かに動くのが見えた。ジョニーは、その影が何であるのか少し興味を覚え、何とはなしに桟橋の方へ歩いていく。
近付くにつれ、影の正体が桟橋の上でしゃがみ込んでいる少女の後ろ姿であると分かってきた。身の丈を見るに、年齢は小学校に入って間もないくらいか。恰好の小綺麗さからして家はそれなりに裕福であるか、少なくとも親から人一倍の愛情を受けているであろうことは推察できた。
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