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強欲少女と琥珀の約束
「あーっ!」
昼時の食堂で、若い少女の声が響いた。慌ててそちらを見ると、声を上げた少女は手に持っていた紙をくしゃくしゃに丸めているかと思えば、机に突っ伏している。
先程テーブルへと出した食事に何かがあった訳ではないらしい。ほっと息をつくと、店員は次の客の机へと皿を運んだ。いくらピークを過ぎているとはいえ、まだまだ店内に客は多い。一区切りまではまだかかる。気になるが、両手の皿を無くすことが先決だ。
先程の少女の行動は注目を集めたが、店員である自身も含めて人々の視線はすぐに離れていった。多分、皆理由は同じだろう。
振り向いてみたものの、奇妙な声をあげた少女の顔は伏せられている所為でわからない。蜂蜜よりも濃い色の髪の毛は綺麗に結い上げているが、服装は華美なものではなかった。コートにスカートではあるが、全体的に動きやすさを重視した服装だ。それに、腰から下げられているのは小振りで細身の剣。
これらから想像される少女の職業は、冒険者かそれに似たものであることは間違いない。
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