第二章 どっちもこっちも恋敵(らいばる)登場

3/12
前へ
/111ページ
次へ
そうして 日扇家 王店師匠の名前は 没収と言うか 返上して 扇亭 横転を名のってるって寸法よ 「まあ そうでもなきゃ うちみたいな 小さい小屋に 横転師匠なんざ出演してもらえるわけないしねえ」と 野々村氏言えば 横転師匠 「いんやあ おいらなんざ 噺生まれの噺育ち どこだってかまいやしねえんだい お客さんの笑顔。笑い声が 飯みてえなもんだからよぉ」 「でさあ 師匠 気になってたんですが その娘っこ 食っちゃったンですかい?」と下卑た発言を 芸人の「親爺家 時事い」茶化して聞けば 「べらんめぇ そんな馬鹿なことするわけ あんめいよ しかるところに預けて 今 働いてるよ 帝都 浅草でよぉー」 「ええっと 吉原ぁ?」と次も 下卑た発想力を 口にした漫才師「大痛小痛」の一人 「大痛師匠」が問えば  それを聞いた 美々ちゃん なんともいやな顔をしては 横転師匠を睨みつけていますが 「何を馬鹿なこと言ってやがんでぇ 浅草だって言ってんだろうが 浅草。。。。。」 「だよねぇ 横転さんが そんな女衒みたいなことしないよねえ」と なぜかほっとした表情の 美々ちゃん それには気がつかず 横転師匠  「んじゃあよ 美々ちゃん これから このめえ 言ってた 十二階行こうかねえ」と 急に 誘いはじめては 回りは あまりの急展開に 目を白黒させるも 元々 美々ちゃんが こないだから 横転師匠に 「あたいを十二階連れてって」とあぴーるしていたのを皆 知ってるので これにて 横転師匠の 事件談 お開きとなりました 「横転さん 美々のことよろしくお願いしますね」と 座頭にして 美々ちゃんのおじ 野々村 喜佐次氏が 頼むのを聞いては  横転師匠 「おうよ そんじゃあ 嫁っこにもらってやらぁ」と冗談言っては 横の美々ちゃんに肘鉄くらっています そこで 「楽々座」の面々 大笑い いやはや なんとも 楽屋裏まで 楽しい場所ですねえ ここは。
/111ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加