序章 浅草六区の「楽々座」の面々

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お父さんの弟(彼女のおじさん)が浅草奥山に小屋を持っていて そこで 李 美々ちゃんを引き取り  お転婆さんの美々ちゃん 軽業師のお姉さんのあとをくっついているうちに いろいろと技を覚え お姉さんが引退したあと わずか十歳で デビューするや 西洋人形みたいなルックスと身軽さ そして口の悪さが客に大ウケ「楽々座」の看板娘へと。 この「楽々座」では 美々ちゃんの女軽業 奥山の頃より 現在大人気演目でして 今でも無くてはならない看板のひとつですが、この「楽々座」に主演目と言えば。 それを一手に引き受けるのが もう一人の主人公 美々ちゃんの後ろから出て参りました 羽織を着流し風に 着ている 粋な旦那衆みたいな小肥りなおっさん 扇子を片手に「おいおい美々ちゃん そんな急がなくってもよぉ十二階なくなりゃしねえよ 待て待て」と とても早口? 先に外へ出た女学生みたいな格好をした美々ちゃんに よく通る声をかけるのは 本編の主人公にして  「楽々座」の大看板噺家  扇亭 横転(おうぎてい おうてん)師匠です。 真ん丸でなんとも愛敬のある顔 しかし 目付きは意外とキリッとしたいい男風(笑) 横転師匠 美々ちゃんとどうやら どこかへ出かけるようですね 「横転さん いいっしょぉ ほら今 流行のはいから女学生とらんでぶぅできてさぁ ケラケラ」と天真爛漫 美々ちゃんのこの言葉を聞いた横転さん 「ばか野郎 美々 お前じゃ 小学生にしか見えねえよぉ」と毒舌を返しています さて本編のが出揃ったところで「楽々座」について 少し説明しておきましょうかね
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