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「楽々座」の楽屋では 横転師匠の高座も終わり
皆 でてけ でてけの 太鼓の音が お客さんたちを 追い出しています
そこへ 木戸番の城所君が 花束を持っては 楽屋内へ 入って来ました。
「おお 城所君 悪いねえ おいらのご贔屓さんからの花束かい」と 横転師匠 それを 受け取ろうとすると
城所君 「師匠んじゃあないっすよー はい 美々ちゃん どうぞ」と いろんな花が入った大きな花束が 女軽業師の
大連生まれの美々ちゃんへ 手渡されています
「誰があたいに くれたン?」と 美しき花束に見とれながら 聞く美々ちゃん
城所君「ああ あの例の絵かきさんですよ ほら美々ちゃんの絵を描きたいって行ってきた 」
それを聞いた 横転師匠 「そんなン 捨てちゃえよ 美々 あんなイヤらしい絵かきなんざ 鬱陶しいやな」と怒っています
「でもね 花には罪はないっしょ 横転さん 妬いてンのぉ キャハハ」と 全く 師匠の気持ちを知ってか知らずか
美々ちゃんも 悪女なんかねえ(笑)
と言うか 横転師匠から こっぴどく嫌われているのは
大正の世の女子が知らない者はいないと言う
儚い美女の絵を描くスター画家の「竹ノ下 夢路(たけのした ゆめじ)」彼に絵を描かれた女性は まさに帝都 いや日本の美女に認定されたようなもの プロマイドにもなっちゃうくらいの有名人になっては 大旦那にひかれた芸者衆も数多くいるとか
しかし 彼 竹ノ下 夢路には モデル美女を片っ端から口説いてはと言う 悪い噂もあり。。。。江戸っ子の男衆は嫌っているとか。。。。
で たまたま 「楽々座」で 見かけた美々ちゃんを今 描きたいと 言って来ていて。。。。。
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