第二章 どっちもこっちも恋敵(らいばる)登場

1/12
前へ
/111ページ
次へ

第二章 どっちもこっちも恋敵(らいばる)登場

「楽々座」にて 今話題になってる 画家さん 最近 何回も 小屋へやって来ては 何やら お土産を 持ってきては 李 美々ちゃんを モデルにしたいと 攻勢をかけて来てはいますが 当の美々ちゃん そう言うのは 嫌いだとか 写真じゃあないが モデルになれば 魂が取られちゃうなんて 横転師匠に脅されてたり(笑) それは さすがに信じてはいませんが 美々ちゃん 意外と古風なところがありまして 本当に旦那さんになる方以外には 男の人と接することを嫌っています 母親が 大連にて 高級倶楽部にいたことも関係あるのか 身持ちは偉く固い女性なんで 美々ちゃんを好きな 横転さんとしては その点は 心配はしてませんが  何度も何度もめげずに やって来る その優男の画家 竹ノ下 夢路には好印象を持てる訳もなく 先程も花に八つ当たりしては なんだか 自分がアホらしくもあり。。。。。 さて そこへ 座頭の 野々村さん やって来ては 美々ちゃんに 「あの画家さん 美々ちゃんにご執心だねえ うちとしては 美々ちゃんが彼の絵に描かれた美女ってことになれば 帝都中の男たちがわんさか 来てくれて 商売的には 願ったり叶ったりなんだが まあ 無理強いはせんよ」 「野々村のおじさんにそう言われちゃうとなあ 強くは断れなくなっちゃうけど やっぱ 嫌だなあ 絵のモデルなんてあたいの柄じゃないし」 「おお 美々ちゃん やめとけやめとけ あの画家は まあいい噂は聞かねえしなぁ ちょこっと調べてもらうかい?」 「いいよ そこまでしなくても あたいは受ける気ないんだからさ 」 と 言っては 今度は 美々ちゃんが 逆に 横転師匠に向かって 「横転さん あたいさ 一度 聞こうって思ってたんだけど。あの例の事件の真相ってなんなん?」 「え あの事件かい そうだな 座頭 話しちまっても構わないかねえ 他の連中も知りたいだろうしなあ」と何やら 勿体ぶっては 横転さん 皆を 楽屋に寄せ集めました。 あの事件とは。。。。。 横転さんが 大きな劇場での落語を干されてしまった事件 浅草六区界隈では いろいろな憶測が飛んでは 事実が知れ渡っていなくて。。。。。
/111ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加