第二章 どっちもこっちも恋敵(らいばる)登場

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横転師匠 楽屋に 皆を集めては語り出しました 例の事件とは 横転師匠が 古典落語協会より 除名されて 大きな劇場に出演が出来なくなったと言う事件でして 今から二年くらい前に 高級料亭(倉嶋亭)にて  「日扇家 王天(ひおうぎや おうてん)」師匠名人襲名の催しが行われていました えっ 誰や その日扇家 王天って まあ そこは 話が進めばわかりますから。。。。。 そして 古典落語協会の会長さんやら 名人連が 祝いの席を設けてくれたのだが 元々 こういう 堅苦しい ことが 嫌いな 王天さん 途中で 「ちと はばかり(トイレ)へ」と抜けては 料亭内を あっちぃーふらふら こっちぃーふらふらしていると そこへ 悲鳴が あれぇ お助けください!と まさに絹を裂くようなうら若き女性の悲鳴を聞き付けた 王天師匠 その現場へ駆け込んでは そこで うら若き娘を手込めにしようとしている ひひ親父を 張り倒しては その娘を救い出しては 師匠 ある知り合いに その娘を預けに雲隠れしてしまった訳だとか ところが あとでわかったことだが そのひひ親父は 政府の高官でして さらに その娘は 何やら 東北の地より出稼ぎにやって来た 若い娘を 拐かすかのようにだまくらかして 人身御供へと上げた人物が なんとぉ 古典落語協会の会長 小祝家 笑仁(こいわいや しょうじん)大師匠であったことが  わかったのは 後の祭 と言うよりも その現場を見ていた 若手の落語家 噺よりも 師匠連中に胡麻をするのが大得意の まるで 実力のない 黄花亭 小猿(おうかてい こざる)が あることないこと 小祝家会長に吹き込んでは  日扇家 王天 乱心 料亭より 若い娘を拐って 消えるとか 大事件に仕立てた訳で それをあとから聞かされた 王天師匠 「てやんでぇ こちとら江戸っ子でぇ 協会なんざぁ こっちからおさらばでぇ」と 名前も返上しては 日扇家 王天 改めて 扇亭 横転を名のっては 現在に至るってことよぉと説明し終わっては 大笑いしてる 横転師匠 皆 感心してます
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