明日も青空の下であなたと。

12/17
66人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
それを鳴らしていたのはあの娘。 私と同じように叶多くんの事を好きな、あの娘。 一瞬動くのに躊躇いがあった。 さっきのあれ……聞かれてないわけ、無いよね……。どうしよう。 私の口から弁解した方がいい?少しだけ体が強張り躊躇してしまった。 レジ前に立つお客さんを叶多くんも同時に見ていたのだろう。 「俺が出るから良いよ」 手についていた泡を洗い落として、待たせていた彼女の元へと足早に駆け寄っていく叶多くん。 その二人のやり取りを見るのが怖くて、私は叶多くんの作業の続きをし始めた。 ただ、それだけに専念する。 自分のせいで叶多くんの恋を邪魔してしまって、私の胸には喜びと罪悪感とが同居し二つは激しく議論している。 やがて罪悪感の方が勝ってしまったのか。 彼女に申し訳ないという気持ちが、私の胸に広がっていった。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!