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ハハハ、と屈託のない笑顔があまりにも眩しくて、反射的に目を逸らしてしまった。
「有本さんの家の近くにはありますか? イルミネーション。
あ、その前に家はどちらですか? 何駅ですか? 」
「ちょ、ちょっと待ってよ。質問多いって」
「あああ、ごめんなさい、フフッ」
肩を竦め、背筋を正して笑う花耶。
急なテンションの舞い上がり様も、恥ずかしそうで楽し気な表情も、たまらなく可愛い。
このままでは鼻の下が伸びて情けない顔を晒してしまいそうなので眉を寄せて困った表情を作る。
自分なりの誤魔化しをしてから彼女に微笑み、「えっと、なんだっけー?」と話を戻す。
「イルミネーションは全然ない、街灯だけの悲しい道だよ。
駅は6つ目の寄橋中央です。新堂さんは? 何駅?」
「え、っとー、私は、その次です。
その次のーー、駅ですね、はい」
「ふーん、日和3丁目なんだ、結構遠いんだね」
「......はい、まぁ。
でも、乗り換えなくていいから楽ですよね」
揺れる電車、足の温もり、頬は火照って脳は有頂天。
夢見心地の巧を乗せて、外の景色はグングン流れて行った。
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