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「あーあ、長いよ、話が.....。肩凝ったぁ」
来年度販売の新商品に関する会議が思っていたより長引き、オフィスに戻った頃には、従業員の姿はほとんどなかった。
残りの仕事を手早く済まし、本日の業務終了は21時を過ぎた頃だった。
確か今日、音楽学園特別編にパンクロックバンド“MUSIC BANANA GARLS”が出るのに見れなかったな、あ、でも動画サイトで見ればいいか。と小さな一喜一憂をしながらエレベータ―を降りた。
午後20時以降は一切仕事をしないエスカレーターを横目で睨みながら階段を下り、ロビーからエントランスへ。
自動ドアが開くと同時に気合いを入れて、いざ、極寒へ。
寒さを感じる前に、寒っ、と口にしてしまうほど冷たい風に顔を歪ませていると、
「お疲れ様です! 有本さん」
突然、真横から足を踏み出してきた人物がいた。
声の主に、目を疑い、呼吸を止めてしまった。
「え、どうして。あ、え? 何してるの?」
そこにいるのは真っ赤な鼻をした花耶。
堪え切れなくなったクシャミを、小さく上品にしてから、子供のようにヒヒッ、と笑った。
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