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どうしたの? と驚きながら笑顔を見せると、
「昨日の歓迎会のお金、やっぱり申し訳ないなって思って。
いくらか、お返しします」
そう言ってカバンに手を入れた花耶を慌てて止める。
「いやいやいや、新堂さんの歓迎会なのに新堂さんがお金払うのおかしいでしょ。
全然気にしなくていいから。ああいうのは奢られてたらいいんだよ?」
早口で捲し立てるも、でも、と言いながら財布の頭をカバンから出したので、早押しクイズのボタンを押すようにそれを中に仕舞わせた。
「本当にいいから、ハハハ。
こんなの初めてだよ」
「ごめんなさい」
「あ、いやいや怒ってないよ? 全然」
眉を寄せて申し訳なさそうな表情の花耶、苦笑いを浮かべて黙ってしまった。
なんて健気な女性なんだろう、お金のことをここまで気にかけられるなんて。
それに、たったこれだけの為に待ってたのか? この寒い中。
こちらも似たような苦笑いで、鼻を啜る。
「......」「......」
変な空気になってしまった。どうしよう。
帰るのかな? だとしたら電車は同じだろうけど。
いや、でもどこかに立ち寄ったついでにここまで戻って来た可能性もあるし。
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