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陽は体格の割にインドアだからか、大食漢ではない。それでも大人の成人男性だ。睦月よりかはよく食べる。というか、睦月が食べなさ過ぎだと言われるが、自分の周りには陽を始め、荒地といった体格のいい男が多いからだ、きっと。
「兄ちゃん、手もあらったよ~」
着替えが終わり、行く気満々にリュックまで背負い込んだ葉月が、手のひらを睦月に向けて、見てと言う。リュックを背負ったまま食べる気かと、苦笑が漏れた。
「綺麗になったね。でも、リュックは玄関に置いておいたら? ご飯食べられないよ」
「持ったままたべるから、いいの」
ギュッと肩紐を掴み、離すまいとブンブンと首を振った。我儘ではないが、誰に似たのか頑固な葉月はこうなったらテコでも動かない。
小さくため息をついて、仕方ないなと溢す。
「誰に似たんだろ……」
「お前だろ?」
「へっ?」
テーブルに運ぶのを手伝うつもりなのか、陽がカウンター越しにほらと手を差し出した。
「お願いします……って、俺?」
椀に入れた味噌汁を手渡しながら聞くと、そっくりだと喉奥で笑われる。
自分のことをそんなに頑固だと思ったことはないが。
「あ、そういえば今日って車で行くんですか?」
県内にある動物園は、車で一時間ほどかかるが、電車でもそう遠くはない。朝早いこともあって、混雑も避けられるだろう。
「そうだな……お前は、もう車平気か?」
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