幸せの温度

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 今日はどこの公園へ行くのかなと、心が躍る。  キラキラ輝く太陽みたい──。  着いた場所は木がいつもの公園よりもたくさんあって、目の前には川が流れていた。大人たちが四人いて、子どもは睦月一人だ。母は絶対に川には入らないことと言い置いて、準備があるからと野菜や肉を持ってどこかに行ってしまった。睦月は父の近くで、落ちている石を拾って遊ぶことにしようとしゃがみ込んだ。 「お前が、睦月?」  突然上から聞こえた声に顔を上げると、太陽に光るキラキラが見えた。  父よりも母よりもだいぶ背の高いその人は、陽ちゃんと呼ばれていた。睦月がうんと顔を上げなければその表情を見ることが出来ず、つい爪先立ちになる。 「お兄ちゃんが、陽ちゃん?」  睦月がふらふらと爪先立ちをしているのを見兼ねて、抱き上げられる。ギュンと高い場所に持ち上げられて、いつも見てる景色と全く違う光景に息を呑んだ。 「そう、お母さんたちから聞いたのか?」 「うん! お肉タダで食べられるって言ってた! お兄ちゃん、髪の毛キラキラしてて綺麗……ねえねえ、触ってもいい?」 「おい、健吾……お前子どもになんてこと言ってんだ」     
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