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土日尾けられたり、制服の一件のようなおかしなことは最近はない。それでも、たまに視線を感じるのは平日学校にいる時だ。視線を感じるなんて、殆どの場合は気のせいで、今までの起こった出来事からの恐怖感から来ているのだと思っている。たまたま、窓が反射して光っただけかもしれないし、女子生徒が使っている鏡かもしれない。
制服を盗られてから、大事な物は常に持ち歩くようにしていたため、盗難の被害もなかった。
(もう、諦めたのかな……だったらいいけど)
今日は迎えに行けないから誰かと帰れ、そう言われていたことなどすっかりと頭から消え失せていた。
「今日もダーリンのお迎え? 気をつけて帰れよ」
帰りの準備を済ませ、教室を出ようとしていると、同じように部活に行こうと大きなスポーツバッグを肩にかけた杉崎から声が掛かる。
「ダーリンって……陽さんは今日仕事」
呆れ顔で杉崎を見ながら、部活行ってらっしゃいと告げると、神妙な顔つきで立ち止まり大丈夫かと聞かれる。
「ん、だって帰るだけだし。別に今日は何もなかったしさ」
「いやいや、そんな甘く考えちゃダメでしょ。写真ロッカーに貼るぐらいだったら、イタズラで済んだかもしれないけど……制服のは、ちょっと俺でも怖い」
睦月を怯えさせようとしているわけではないだろうが、杉崎の表情は不安げだ。
恐怖が消えたわけではないが、いつまでも陽に頼っているわけにもいかないし、犯人がわかればまだしも、ただのイタズラで終わる可能性だってあるのだ。
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