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平気そうな声音で、目に涙を浮かべて話すサチ。
サチは努めてそういう声を出す人間だった。
そうだ、何を思っていても平気そうな顔をするのに、頭の中も胸の内も傷ついてばかりいる。
サチはそんな、ひどく傷つきやすい子だった。
そしてそんなサチを、僕は愛していたんだ。
今にも泣き出しそうなサチに、何か言いたくて。
だけど何も言えなくて。
僕は甘いカレーを頬張った。
やっぱり、辛口より甘口の方が美味しい。
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