サチ

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サチは声にならないような声でボソボソと何かを言っていたけれど、僕はそれがうまく聞き取れなかった。 だから聞こえないふりをした。 だって、きっとそれは、僕には聞こえない方がいい声だから。 サチが服のソデで涙を拭いて僕に笑みを向ける。 その笑みが歪んで、また落ちるような感覚に包まれる。 僕はそのままその感覚に身をゆだねて、2秒を数えた。
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