サチ

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躊躇い傷。 肩にも、腕にも、手首にも、足にも、胸や腹にも。 着けすぎて、自分で見る分には着いてない場所のほうが少ないだろう程の傷。 新しいものも、古いものもあった。 だけどおかしい、僕はこの時間を知らない。 それだけの数の傷を、サチは僕に隠し通していたはずだ。 だって僕はその傷の存在を知らなかった、こんな傷初めて見た。 これは、誰も知らないはずの時間。 なのに、僕はこの時間を知っているらしい。 驚きがなかった。 多分これは、僕じゃなくてあの声の主の見ていた時間なのだろう。 まるで1度どころか、2度3度とそれを見たことがあるかのように思えた。
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