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愛していた。
そして、愛されていた。
君は僕を好いていると、あの声で言ってくれたのに。
その言葉を信じて、最後まで共に歩もうと誓ったのに。
なのにどうして君は今、最後の2秒を落ちていくのだろう。
僕は君を抱きとめることも、君の腕を掴んで引き上げることも出来ない。
これは夢だ。もう何度も見た夢だ。
だけどこれは現実だ。
僕はそこから腕を伸ばし、届かない数cmを埋めようと身を乗り出す。
それでも君には届かない。
数cm前に進んだ時には君はもう、小さな赤の海になっていたから。
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