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「じゃあな、コウスケ。幸せになれよ」
サチの髪が風に揺れる。
プラスチックの燃える匂いが、風に乗って流れていく。
「本当に行くのかい、サチ」
「ああ、逝くよ。私は幸せになりに逝く」
「そう、じゃあ、さようなら」
あっさりと、また明日会えるかのように、僕からサチに投げかけられた言葉。
その言葉を聞いた瞬間に気付く、体が自由であることに。
僕の意思を全く介さなかった足も、腕も、恐らく喉も、今は僕の自由に動くだろう。
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