サチ

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だけどここに来て、僕はサチを止める気を起こせずにいた。 多分、僕が何を言っても彼女はここから落ちていくだろう。 力づくで引き戻す事も、僕には出来やしない。 だから諦めて僕は、サチが落ちていくのを傍観する事にした。 なのに体は素直じゃなくて。 意思の通りにはなってくれなくて。 駆け寄って手を伸ばし、サチの服の裾を掴もうとする。 けれど、その指先があと数cmというところまで迫った時。 「ごめんなさい」 そう言って、サチは落ちていった。
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