サチ

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赤に包まれた君から目を逸らして、僕は屋上から降りる。 彼女のように飛ぶのではなく、階段を使ってゆっくりと。 彼女が落ちた裏口側ではなく、堂々と正面玄関からマンションを出て、帰路に付く。 「さようならサチ、不幸な人」 僕の意思なく僕の口がそう囁いて、暗闇に引きずり込まれた。
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