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僕は、母とは似ていなかった。赤褐色の髪に茶色の瞳だった母に対し、僕はプラチナブロンドの髪に薄いアクアマリンの瞳。そして、透き通るような白い肌。
見た目だけは、どこかの上流階級のお坊ちゃんのようだった。
男は骨ばったゴツゴツした大きな手でがっしりと僕の手首を掴み、顔を寄せた。
煤だらけの汚い皺くちゃの顔に無精髭を生やしており、アルコールと酸っぱい胃液の混じったような口臭は近付くと吐き気を催した。
「は……放せ!!」
恐怖を感じながらも威嚇するが、男は全く動じていなかった。
下から上まで舐めずるようにして視線を向けられる。
間違いなく性的対象として厭らしい目で見ていることを幼いなりにも全身で感じ、自分の身に危険が近づいていることを悟った。
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