千載一遇のチャンス

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 自分の部屋に入ると、心から安堵の息が漏れた。  ここで過ごしたのは僅か1年ほどだが、僕にとって『マイホーム』といえば、11年母と過ごした貧民街の家よりもここだった。  デスクの上には、手紙が置かれていた。  僕宛に誰が手紙など出すのか不思議に思って宛名を見てみたら、モルテッソーニからだった。  誰かに代筆を頼んだのだろう。そこには英語で、シューイチ・クルスが来年の夏から二年間彼の家に滞在することが書かれていた。  シューイチが、ウィーンに!!  それを聞き、すぐさま彼に会いたいという思いが胸の中で大きく膨らんだ。  モルテッソーニは、もし気が変わったのならいつでも来なさいと言ってくれている。  僕の心が、激しく揺さぶられた。
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