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今までなら、たとえシューイチがウィーンに行こうと、そこで一緒に過ごせる機会があろうとも、学校をやめてまでモルテッソーニの元に行くなど、絶対に考えられなかった。
だが、今の僕は違う。
もちろんシューイチに会いたいという思いも強くある。
けれど一番大きかったのは、なんとかしてこの地獄から抜け出したいという悲愴な願いだった。
父は……なんと、言うだろう。
僕は何度も手紙を読み返しては、溜息を溢した。
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