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代理人がひとつの部屋の前で立ち止まり、扉をノックした。
「スペンサー様、お連れしました」
代理人が扉を開け、僕に先に中に入るようにと勧める。
足が竦むけれど、どんな地獄だろうと今までいた所よりはマシなはずだと言い聞かせ、震える足を踏み出した。
正面奥の頑丈そうな造りのデスクに、男が座っていた。
デスクに肘をついて手を組み、その上に顎を乗せている。
一歩ずつ歩み寄るにつれて、男の顔がはっきりと見えてくる。
「ッ……」
男の顔をはっきりと認識した途端、僕の足が止まった。
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