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その男をひとめ見た途端、僕はこの人の息子であることをはっきりと自覚せざるを得なかった。
輝くようなプラチナブロンドの髪、ガラス玉のようなアクアマリンの瞳、雪のような白い肌……そして、人を威圧するような高圧的なオーラ。
父は、上から下まで汚いものを見るように蔑んだ目つきで僕を眺めた。
「お前を今日からスペンサー家の息子として迎え入れる。
今までの暮らしは全て忘れ、スペンサー家の後継者として恥じない知識とマナーを身につけるように」
密かに期待していた感動の再会は果たされず、ただ上から命令を押し付けられるだけだった。
「まさか、あの女が子供を産んでいたとはな……一生の不覚だが、今私の後継者となるものは誰もいない。
こうして拾ってやったんだ。しっかりと恩を返せ」
悔しかった。
惨めだった。
けれど、元の暮らしに戻るよりは100倍マシだと思った。
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