「秘密の花園」という名の檻

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 監督生達は僕のキートン・アクセントがなっていないだとか、食事のマナーがエレガントさに欠けるなど、何かにつけて罰を与えた。  イギリスで上流階級の子息が通う名門校は幾つかあるが、学校によって独自のアクセントがあり、それを身につけさせられる。キートン校独自のキートン・アクセントで話すことが、彼らにとってステイタスなのだ。  彼らに体罰と称して鞭で殴りつけられることもあれば、木の棒で叩かれることもあった。  同級生からは授業の変更を教えてもらえないとか、グループ授業の時に仲間外れにされるのはもちろん、トイレに入った時には頭から水を掛けられたり、ノートが破られて捨てられていたりすることもあった。  何も、虐めは学生からだけではない。  教師も、僕が労働者階級出身で母が娼婦であったことが分かった途端に態度を一変し、ある時は授業中の態度が悪いと皆の前でスボンを脱がされ、掌の痕が真っ赤につくほど尻を何度も叩かれたこともあった。  分かったのは、貧民街の連中とここの連中では見た目は天と地ほど違っているけれど、その中身は大差ないということだった。  それでも僕は、食べるものにも困らず、殺される危険のないあの場所よりはマシだと言い聞かせた。
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