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「俺の住んでるところ見てびっくりしないでね」
「え?」
その後は無言で僕の手を引くと
テヨンはもっと暗く入り組んだ裏道を歩いて行った。
外灯もろくに無いような細い路地裏を
キラキラと光る眼をしてのら猫のように進む。
通りは自分たちの足音が
ヒタヒタと不気味に聞こえるほど静かだった。
と――。
立ち止まったのはとある雑居ビルの前。
「ここ?」
灰色の高い壁がそびえたつ影。
「そう」
思わず身震いする僕を横目に
テヨンは慣れた足取りで地下へ続く階段を下りてゆく。
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