第4章

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ようは出会ってから今日まで 僕は弱みばかり握られているわけだ。 「感謝してるよ……助けてくれて……」 脅えた小動物みたいに 上目遣いに僕は目の前の男を見上げて言う。 「それだけじゃないでしょ?」 「え……」 「こないだみたいに言ってよ」 悪魔的な瞳をして テヨンは僕の耳元に囁いた。 「俺に無茶苦茶にして欲しいってさ――」 今夜 最たる弱みを握ろうとでも言うかのように。 「テヨン……」 言うだけ言うと 見せつけるように長い指が 赤いシャツのボタンを一つ、また一つと外してゆく。
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