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盗み見るようにまたチラリと見上げる。
手を握られ
守られるように道を歩き
キスされて頬を染めるなんて――。
まるきり女の子にでもなった気分だ。
「テヨン……」
「ん?」
霞んだ外灯の下。
小声で彼の名を呼ぶと
テヨンは足を止め身体ごとこちらに耳を傾けた。
「何でもない……」
告白すらしかねない雰囲気の中。
僕ははぐらかすように首を横に振った。
「何だよ?」
「いや……何でもないよ」
視線が定まらず右往左往して夜の街を泳ぐ。
酔ってもないのに
さすがに言えなかった。
(もう一度キスしたいなんて――)
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