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「食事の気分じゃない」
「何て?」
大人げないと分かっていながら
立ち止まって僕は渋った。
「食べたくないよ」
「何にも食べたくない?」
「うん」
「こんなとこまで来て!」
テヨンはこれみよがしに溜息を吐くけれど
「はぁ……我儘なお客さんだ」
全然困った風でもなく肩をすくめた。
「それじゃどうしますか?」
先刻まで繋がっていた唇が
意地悪く尖って言う。
「駅まで戻って帰る?それとも――」
僕は期待のこもった瞳で
前言を覆す言葉を待った。
テヨンは僕の耳元に身を屈め
ゆっくりと続きを囁いた。
「俺の家来る?」
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