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苦笑したファウストは、やっぱり少し寂しそうだった。
「オスカルまで恋人ができたとは、少し意外だった」
「相手は分かっていたでしょ?」
「まぁ、確かめはしなかったが。エリオットは元々俺の下にしばらくいてくれたし、オスカルの視線を感じる事はあったしな」
それでも短気なオスカルが五年以上も関係を進めなかった事で、どこまで本気かはかりきれなかったのだろう。
ランバートも少し意外だった。相手というよりは、彼の気長さに。
「だが、素直に祝ってやりたい。数少ない友人で、仲間だからな」
そう言ってグラスの酒を覗き込み、流し込むファウストは苦笑していた。
「俺でよければ、お付き合いしますよ」
「そうだな」
悩むことも躊躇う事もなく返ってきた言葉が少し意外だ。けれど、心地よいようにも思えた。
「あっ、そうだ」
紙袋に入れたままの包みを取り出し、ランバートはファウストの前に置く。彼は首を傾げながらもそれを受け取ってくれた。
「なんだ?」
「まぁ、聖リマの日なので」
包みを開けたファウストの目が驚きに見開かれ、次にランバートを映す。その表情が何よりも嬉しくて、ランバートは笑った。
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