恋人達のお茶会(エリオット)

1/3
404人が本棚に入れています
本棚に追加
/33ページ

恋人達のお茶会(エリオット)

「うわぁ、降ってきたね」  暖かな店内から外を眺めていたオスカルが、嫌な顔をしてそう言った。  寒いのが苦手な彼の誘いで夜の街に繰り出したエリオットは、前に約束したティーセットを買いに来た。オスカルの部屋に置く用で、二人だけのセットだった。 「お茶がはいりましたよ」  エリオットは穏やかな声でオスカルを呼ぶ。  ここは贔屓にしているティーセットの店なのだが、茶葉も扱っていて二階ではお茶も飲める。  辿り着いてあれこれと悩んでいる内にちらほらと雪が降り始め、「今は外に出たくない」とごねたオスカルを連れて二階に上がった。  椅子に腰を落ち着けてお茶を飲んだオスカルが、嬉しそうに笑う。多分、茶葉が分かったのだ。 「オレンジペコー」 「正解です。お好きですか?」 「あまり飲まないんだけど、いけるかな。今日のお菓子はマフィンだね」  夕食がまだだったから、少しお腹に溜まる物をお願いした。プレーンと、チョコチップのマフィンが二つずつ並んでいる。  一口大にちぎって口に放り込むオスカルが、気に入ったのが満足そうな顔をしていた。 「これを頂いたら、宿舎に戻りましょうか」 「えー、食事したい」     
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!