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恋人達のお茶会(エリオット)
「うわぁ、降ってきたね」
暖かな店内から外を眺めていたオスカルが、嫌な顔をしてそう言った。
寒いのが苦手な彼の誘いで夜の街に繰り出したエリオットは、前に約束したティーセットを買いに来た。オスカルの部屋に置く用で、二人だけのセットだった。
「お茶がはいりましたよ」
エリオットは穏やかな声でオスカルを呼ぶ。
ここは贔屓にしているティーセットの店なのだが、茶葉も扱っていて二階ではお茶も飲める。
辿り着いてあれこれと悩んでいる内にちらほらと雪が降り始め、「今は外に出たくない」とごねたオスカルを連れて二階に上がった。
椅子に腰を落ち着けてお茶を飲んだオスカルが、嬉しそうに笑う。多分、茶葉が分かったのだ。
「オレンジペコー」
「正解です。お好きですか?」
「あまり飲まないんだけど、いけるかな。今日のお菓子はマフィンだね」
夕食がまだだったから、少しお腹に溜まる物をお願いした。プレーンと、チョコチップのマフィンが二つずつ並んでいる。
一口大にちぎって口に放り込むオスカルが、気に入ったのが満足そうな顔をしていた。
「これを頂いたら、宿舎に戻りましょうか」
「えー、食事したい」
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