青色の桜

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青色の桜

 四月。いっせいに咲き出した桜は風に花びらを揺らし春を告げる。  夜空は電気たちに蝕まれ星の一粒すら見えないけれど。筋書き通りの季節の景色なんて何一つ見えないから、私はルタが好き。夢は自由だ。  小学生になると、自転車の乗り方を覚えるみたいにコミュニケーションのルールを覚える。他人には親切しなければならないという事も、優しさの具体例も教科書にあって授業で教わる。対人関係は輪を乱さない事が最低条件で、突飛は異端。コミュニケーションにおいて他の人とは違う面白さなんて求められていない現代では、異端と見られれば職を探すのも困難だ。社会に出て四年になるけれど、ここも穏やかさを強制された社会。 ルタは精神安定剤として作られたシステムだ。  そんな世界でも人間の思い通りにならなかったのが雨。  雨は、予測は出来ても止められない。周りの事なんてお構いなしで好きな時に好きなだけ降る。夢の中でも。  今も始まったばかりの春の色を洗い流すように雨が降る。この雨音も、窓から見える色のない景色も何よりも優しい。 「リン。今日はもう終わり?」  始まった。 「まだ。休憩してただけだよ」 「一緒しよ」     
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