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「お戻りにならないお客様は、船上1階の船首、右舷側、再び乗船なさるお客さまは船上1階の船尾、右舷側にてお待ちください。いずれもお降りの際に乗船券を確認いたしますので、ご準備をお願いします。乗船券をなくされたお客さまは、近くにおります案内係にお声掛けください」
「準備をして、船尾側に集まろう。土産は買えたかい」
「ええ、この通り!急いで準備しますわ!」
3人は急いで部屋に戻り、身支度をすると、船尾側に集まった。
コリンたちも来ており、船の接岸の様子を見ていた。
「只今、ポス港に接岸しました。お戻りにならないお客様の降り口は船上1階の船首、右舷側になります。繰り返します。降り口は船上1階の船首、右舷側になります。係の者の指示に従ってお降りくださいますようお願い申し上げます。本日は客船クランベルをご利用いただき、ありがとうございました」
右舷側の船首と船尾にそれぞれ段梯子が渡され、柵の前に船員が左右に2人ずつ立った。
「再び乗船なさるお客様の降り口は船上1階の船尾、右舷側になります。下船と乗船の際に係の者が乗船券を確認します。なくされないようお気を付けください。クランベルは明日の朝8時に出港しますので、それまでにご乗船をお願いします」
案内の声が終わって少しすると、手摺の一部となる柵が開いて船員が乗船券を確認し始め、一行は順に船を降りた。
「夕食まで間があるな。どうする?」
コリンが聞くと、エリィが元気に答えた。
「あちらに夕市がありますの!行きましょう!」
行ってみると、そこは魚介類を多く扱っている市のようで、おいしそうな匂いがしていると思うと、店頭で商品を焼いているのだった。
そのまま店先で立ち食いしている者たちが少なくなく、一行もそれに倣って、夕食前だというのにあれこれ食べた。
夕市の賑わいを満喫すると、一行は腹ごなしにと、桟橋からもう1本遠い通りを歩いた。
そちらはきちんとした建物に収まった店が並び、人通りはそこそこあるようだった。
クランベルで得た案内図によれば、そこはポスの港の仕入れ通りということだった。
「主にお酒や豆茶、それらに関する物を置いているようですわ。例えば、お酒の瓶、瓶に付ける蓋、樽、豆茶なら、豆を砕く道具、お茶を抽出する道具などのようですわ!」
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