カザフィス王国

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そのあと、目当ての店に行って食事を摂ったあと、ザイとカヌラも入れる酒場に行って、今日見たことを話し合った。 それによれば、コリンたちは主に船上1階と2階にいたのだそうだ。 「今日はよく遊んだ!景品を取り過ぎて叱られはしないかと思ったが、いやな顔ひとつせず、親切にしてくれた。景品自体も、用途の判らないものなどあったが、説明書を読んでみるとなるほどと思うものが多かったな。ザイ、点火器を見せてみろ」 コリンに言われて、ザイが取り出したのは、ザイの手のひらにも収まりそうな銀色の薄い小さな直方体だった。 「火を点けてみろ」 ザイは、はい、と言って、直方体の上部を開き、なかのつまみを親指で押した。 すると、かちっという音がして、ぼっと小さな火が点いた。 「んっ?ザイは火の者…なのか?」 ジエナが言い、コリンは笑って、ジエナも知らないのだなと言った。 「やってみるといい。存外感動するものだ」 ジエナはザイから、その点火器と呼ばれるものを受け取り、使い方を教わると、つまみを押して出た火に驚いた。 「なんと、俺でも火が作れる!」 「私にも貸してくれ」 トールも試して、おお、と声を上げ、エリィも試して、目をきらきら輝かせた。 「まあ、火の者でなくとも火が使えますのね!」 ポーラも試して、これは便利ですねと言った。 「台所に火を残しておかなくていいので安全ですし、消える心配をしなくていいです」 「これはサイセキを使っているのか?」 ジエナが聞くと、コリンは嬉しそうに首を横に振った。 「火花の出る彩石ではない石…燧石(すいせき)という石と、油を使っているんだ。油はいずれなくなるが、また入れればいい」 「アルシュファイドにはこんなものもあるのか…これも遊びの景品なのか?」 「いいや、これは土産物屋で見付けたやつだ。横に船の名と姿が彫ってあるだろう。隣に燐寸箱(りんすんばこ)というものも置いてあった。これだ」 コリンは点火器より少し厚みのある直方体の銀色の箱を取り出して、蓋を横に滑らせて開け、なかから先に小さな赤い楕円の付いた棒を取り出すと、掲げて見せた。 「これが燐寸だ。箱のこの面で赤い方を素早く()って、火を点ける。見ててくれ」 コリンはそう言いながら箱を閉め、開けたのとは逆側の面に赤い部分を付けて、素早く擦った。 すると、点火器と同じくらいの大きさの火が現れて揺らめいた。 「おお…」
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