カザフィス王国

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ハンザが料金を支払い、箸や、付け垂れの入った瓶を確認した。 「こっちが生もの、こっちが火を入れたもの、こっちには汁が入ってるんで気を付けてお持ちになってくださいよ。悲惨なことになりますからね」 器は食べ終わったら捨てていいということで、船の時間もあり、気を付けて、だが急いで桟橋に戻った。 (だん)梯子(ばしご)の下には人がそこそこ並んでいて、ジエナたちは列に並んでそれぞれ乗船券を確認してもらった。 船にあがると、ちょうどエリィが出てきたところで、まあ、一緒に行きたかったですわと残念そうに言った。 「土産があるから、外で一緒に食べよう」 ジエナがそう提案すると、エリィは喜んでついてきた。 船上1階の船首側には、固定された椅子と机があり、ジエナたちのように朝市の土産を持ち帰ったらしい者たちが食事の最中だった。 机のある席は限られていて、ジエナたちは椅子だけの席と分かれて座ることにした。 まだ温かい汁物は体が温まり、新鮮な生ものはおいしかった。 ハンザが、トールが昨日食べた、ヒュミの握り飯をそれぞれに買ってきて、少し足りないが、気持ちとしては満足のできる朝食となった。 食事が済むと屑入れに器や箸などを捨てる。 このとき、瓶は分けるようにとあったので、分けて捨てた。 するとすぐに回収する者がやって来て、屑入れの中身をどこかへ持って行こうとした。 トールはふと気になって、なぜ瓶は別に置くのだと聞いた。 「はい?ああ、瓶は洗って再利用するんで、別にするんですよ」 「再利用?」 「さあ、私も詳しくは知りませんが、硝子だから、また熔かして別のものを作るんじゃないですかね」 「熔かして作る?」 「ええ。アルシュファイドのレグノリアに、再生工場というのがあって、紙だけとか、布だけとか、木だけとか、硝子だけとか集めて、再生させてるって話です。具体的にはよく知りませんが、まあ大体、元に戻して作り直すって感じで理解してます」 「元に戻して作り直す…」 「ええ」 考え込む様子のトールに代わって、ルゼナが回収する者に礼を言って作業を続けさせた。 トールは慌てて礼を言って、外の展望区画にある椅子に座った。 潮風が吹き抜ける。 考え事には不向きだなと気付いて、周りを見回すと、見慣れない装置の前に父と幼い娘らしき2人連れがいて、その装置のなかを覗き込んでいた。 「あれはなんだ?」
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