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その宣言に、料理長は首を傾げたが、船を降りるまでに調理法を記して部屋に届けると約束してくれた。
食事を終えると、ジエナたちは再び、同じ階の展望室に行き、言葉遊びを始めた。
決められた1人が紙に書いた物を当てる、というものだ。
周りの者は、その1人に、順番に、それは白い色ですか、などと質問し、はい、か、いいえ、で答えてもらう。
これも、持ち人当て遊びのように、答えを当てるまでの質問の少なさを競う遊びでありながら、同時に会話を楽しむものでもある。
そうして遊んでいると、やがてガリヤ港に入港し、1時間で出港した。
一同は喉が渇いて、船上2階の喫茶室へと移動し、茶のひとときを楽しんだ。
最後は船上3階の展望室で過ごしていると、夕暮れが迫り、船内に声が響いた。
「ご乗船の皆さまにお知らせします。まもなくハルト港に接岸します。こちらで降りられるお客さまには、お忘れ物なきよう、今一度、身の回りの品をご確認くださいますよう、お願い申し上げます」
それを聞いて一行は急いで部屋に戻り、準備をする。
降り口は船首、右舷側。
夕暮れのなか、迫るハルト港に、胸が高鳴る者たち。
それはこれから見るものへの期待だったり、新たな生活へ飛び込むことへの不安だったりした。
以前、ハルト港を発ったときとは、違う自分を感じて、戸惑いや怖れ、同時に胸を張る気持ちもあった。
「さあ、まだあともう少し」
ジエナが言った。
その言葉を聞いて、あとほんの少しの猶予を感じた。
クランベルがハルト港に接岸し、段梯子が渡される。
一行は最後に船を降りて、ジエナは待っていた荷持ちらと挨拶を交わした。
「少し町を見て回るから、先に宿に荷物を置いていてくれ。ハンザ、頼む」
荷持ちらは心得て、船の荷持ちらから荷を引き継いだ。
ハンザと荷持ちらと分かれた一行は、船でもらった案内図に従って歩き、3本の大通りのうち、中央の1本にすぐに出ることができた。
そこからは自由に歩き、トールはまず、手前から、着衣に使う布の店に入った。
店内には、ほかに客は2人で、取り敢えずトールのあとからついて入ってきた一行に、店主は目を丸くした。
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