オルニスの塔

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足を舐め回されるのは嫌いだけど、差し出さなければ金がない。 夕方、太陽が沈み始めたのを目安に起き出す。私が見るのは赤い空ばかり、それから紫になって、藍色になって、夜が来る頃には忙しくて空なんて見ていられない。せいぜい媚びを売る時に、腕を絡ませながら見るくらい。  かといって夕方のこの時間も忙しい。髪が揺れる度にシャンプーの匂いがするようにシャワーを浴びて、特に脚を綺麗に洗う。荒れて顔色の悪い肌を隠すために厚化粧をして、買ってもらったドレスにアクセサリーを身に着ける、香水を振りまいたら売り物の私が完成。夜ご飯は食べずに、オルニスの塔へ入る。  一階は受付とレストラン、二階は酒場で、お洒落なバーから居酒屋まで様々な店が並ぶ。三階には舞台があり、女たちが歌い、踊るショーパブになっていて、ここの女たちは特別にチヤホヤされる、去年までは私も舞台で歌っていた。四階は混浴の大浴場、五階から上は客用の宿、つまりラブホだ。     
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