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「君も、迷子なの?」
スライムに話しかける水谷くん。
「いや、水谷くん。こいつは敵だよ」
「え、でも……」
何故か落ち込む水谷くん。
スライムが襲いかかってくる。ここは俺がしっかりしないと!
「スライムが雑魚中の雑魚だって事くらい、ゲームやらない俺でも知ってるんだよ!」
スライムめがけてかかと落としをする。
ぶみょんっ
うっ……、見たこともやったこともないけど巨大こんにゃくゼリーに足突っ込んだみたいだ……。
ぶるるんっ
スライムは元の形に戻ってしまった。俺の足を包むようにして。
「包むようにって……ええええ!?困るわ!離せ!」
急いで足を持ち上げた。
しかし……。
ぶみょーんっ
スライムは足に引っ付いたまま伸びて離れようとしない。
水谷くんの手を借りよう……。
「水谷くん、悪いんだけど引っ張って……って、何してんのぉ!?」
水谷くんを見ると、彼は大量のスライムにダイブしている。
「ぷるぷるのお水……。泳ぐの、気持ちいい」
水谷くんはスライムの中を泳ぎ始めた。
ダメだ……。
ん?待てよ?スライムがいるってことはたぶん剣と魔法のファンタジーな世界なのだろう。迷い込んだばかりの人でも偶然か何かで魔法を使えるようになるとかよくある話な気がするぞ……。
それにほら、世の中ご都合主義とやらもあるわけで。
ダメ元でスライムに手をかざして息を吸った。そして……。
「うおおおおっ!燃え盛れ、エレメンタルファイアー!!!」
気を手のひらに集めるイメージで叫んでみるが何も起こらない。
「おいどうしたご都合主義ィ!!!」
「ぎゃーっはっはっは!!!本田さんマジ受ける!燃え盛れって……はははっ!もしかしてヒーローに憧れてあんなバイトしてたの!?」
少し離れた岩の上にどこかに行ったはずの金田くんがいる。
ヘルメットを肘掛のように使い、片手にはスマホを持っている。
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