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「だってじゃない。もし市乃があのとき間に合わなかったら今こうして話すことも出来なかったんだぞ」
「僕は、先生がそんなに僕のこと想ってくれてるなんて知らなかったし、誰にでもあぁゆうことしてるんだと思ってたから」
「そんなことしてたら問題になって解雇されてる」
「先生、人気だったから、みんな先生にだったらいいやって問題になってないだけなのかと思って。突然いなくなって悲しんでる人も結構いるみたいだし」
「そんなこと言われても反応に困る」
十九さんなら言い寄ってくる人を全員恋人にしたっておかしくないのに、彼は本当に困惑したような表情をしていて兄弟でもこんなに違うものなのかと少し不思議に思っていると彼が額に置いていた手を動かしてするりと僕の頬を撫でた。
「彩果、忘れていたこと全部思い出したんだよな?」
「たぶん」
「じゃあ俺に初めて会ったときに言った言葉は?」
「えっと、その、保健室って体が辛いときにしか行かないからあそこにいるときはいつも意識がふわふわしてて、だから先生の記憶ってすごく曖昧で」
「探している人でもいるんですか?それとも誰かを待っているんですか?って訊いてきたんだよ」
「あぁ、それって初対面のときに訊いたんでしたっけ?」
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