14:嘘つき男と大切なひと

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「あの、だからさ、図々しいって分かってるんだけど彩果にも灯季にも親がいないだろ。だからふたりの間に子どもが出来たら俺の両親におじいちゃんおばあちゃん役をさせてやって欲しいんだ」 「え?」 「いや、彩果が嫌だって言うならいいんだ。これは俺の勝手なわがままだから」 「そうじゃなくて、こんって子どもつくれるのかな?」 「ん?」 「いや、その、こんは僕のこと、好き、みたいだから。もしかしたら子どもがつくれないからっていう理由で泣く泣くアルファである弟を僕に勧めたのかなって思ったんだけど」 「うーん、そもそもあいつ本当にベータなのか?学生時代もモテて教員時代も人気だったし平凡が特徴のベータって感じじゃないんだよなぁ。何か言い寄られた時にベータだと断る理由になりそうとかそういう理由で嘘ついてそうっていうか」 「僕から見たら礼くんも平凡って感じじゃ無いんだけど」 「だって俺はそれだけ努力してるから」 「努力できるのもすごいと思う」  僕がそう言ってコップを手に取ると礼くんはこちらの顔に向いていた視線をゆっくり下に向けて、すぐに顔に戻した。 「この際だから、言うけど」 「何を?」 「彩果、ここ三ヶ月発情期来てないよね」 「あぁ、うん。何か突然人にも襲われなくなって礼くんも寝不足にならずに済んでるし平和な日々を過ごせてるよね」     
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