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礼くんも心配性だなぁと思いながら声をかけると彼は勢いよく立ち上がり、部屋の襖を開けると廊下に顔を出した。
「みんなー彩果、病院行くって!」
「みんな?」
嫌な予感がしてよろけないようそっと立ち上がり、まっすぐ歩く事だけに集中し廊下に出るとそこには盗み聞きをしようとするかのように、というかしていたんだろう襖に耳をつける深島先生と三色組の姿があった。
「だって私たち、さりげなく病院に行くよう勧めてたのに御東儀くん気付かないんだもの」
「いやー楽しみじゃねぇか!男と女どっちだろうな!」
「性別が分からないと洋服は買えませんから、まずは乳母車やベットから揃えましょう」
「だっこする」
「いや、ちょっと待ってください、まだそうと決まった訳では」
自分たちだけで盛り上がっている彼らの期待がこれ以上膨らむ前に止めた方がいいとと思って戸惑いながらも声をかけたのだけれど、その声は届かなかったようで四人はわいわいと話しながら自分たちの部屋へと戻って行ってしまった。
「彩果の周りって何でこう人の話を聞かないやつばっかりなんだろうね」
「何か、申し訳ないよ」
「不愉快だ、じゃなくて?」
「だって、違うって分かったらがっかりさせちゃうでしょ?」
「自分はどう思ってるの?」
「何を?」
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