14:嘘つき男と大切なひと

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 抉ったとかちぎれたとか破裂したとか、礼くんなんかいつも笑顔のままだし。  でもそれと比べられるってことは僕も相当まずいのか? 「病院、時間決まったら知らせるから」  うぅん。と考え込んでいると隣からそう声をかけられて我に返る。 「え、病院って、僕が入院してた総合病院だよね?」 「あぁ、最近ネットで予約できるようになったからさ。代わりにやっといてあげようと思って。そういうの苦手でしょ?」 「うん。ありがとう」 「明日は受付で保険証と病院の診察券出すだけで問診表とか書く必要ないし、診察までの待ち時間も短く済むと思う」 「へぇ、便利だね。あそこさ、オメガが受けなきゃいけない定期検査に行くたびに平気で二、三時間とか待つから嫌いだったんだ。もう少し早く知っていれば、あぁ、でもうちにはネットに繋がる機械なんて無いから知ってても出来ないのか」 「彩果の携帯、オメガに支給されてる決まった番号との通話しか出来ないやつだもんね」 「うん。だからこんとも電話出来ないんだよね。固定電話も無いし」 「彩果、本当に寂しくないの?」 「平気だよ?」 「無理しないでよ?」 「大丈夫だよ。無理なんかしてないよ」     
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