14:嘘つき男と大切なひと

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 目をつぶってしばらくするとめまいは落ち着いたけれど、早く寝て、早く起きなくちゃと思えば思うほど眠りにつくことが出来なかった。  こんなことをするのは恥ずかしいことだって分かってる。でもこうしないと眠れないのだからしょうがない。  ふぅと息を吐いて僕は想い人の姿を頭に思い描き、右手でそっと尻を撫でてその孔に指を伸ばした。 「これがお薬と、先生から説明があったと思うんですけどここにもお薬の飲み方と、どの薬が何の症状に効く薬なのかと副作用が書かれた紙を同封しておきますから目を通しておいて下さいね。で、診察券と保険証もお返ししますね。ではお大事に」 「お世話に、なりました」  病院に併設された薬局で薬を受け取り、状況が受け入れられないままそこをあとにする。  昨日の様子だと礼くんだけじゃなくて深島先生も三色組も示し合わせてやったことだったんだろうなぁ。  今日もめまいがなくなった訳では無くて、ゆらゆらと動いているように感じる地面をまっすぐ歩けるよう壁に手をつけて歩いて家に向かう。  昨日言われた通り窓口で保険証と診察券を出したら順番が来たら呼びますからと言われ、名前と共に告げられた番号の方向に向かうとその扉には産婦人科ではなく精神科と書かれていた。  最初は礼くんが間違えたのだと思って、扉を開けたらそのことをまず伝えないとと思った。     
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