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彼女たちは三人ともあの男の恋人だ。それだけでも驚くのにあの三人もたくさんいる恋人の中の三人であってそれで恋人全員という訳では無いらしい。
普通じゃあり得ないことだけれど彼はアルファだから。その他の人たちが同じことをすれば浮気だと批判され、彼の立場であれば会社の不祥事になりかねないそんなこともアルファだからの一言で許される。それがこの世の中だ。
たくさんの恋人の中でもあの三人は彼の仕事のパートナーでもあるらしくプライベートだけでは無く仕事の場でもあぁやって彼に付き添っている。きっと僕は彼と一緒に新しい生活を始めるのでは無く、彼ら四人の生活によそものとして加わることになるのだと思う。
見つめていたその姿が見えなくなったところで室内に首を引っ込めて襖を閉める。
こんな体に生まれてしまった時点でまともな結婚生活なんて望めないのは分かっていたけれど、それを受け入れられるかどうかは別の問題だ。自然と口からはため息が漏れる。
彼女たちが全員生殖能力を失ったベータだから結婚相手には選べない。だから仕方なく子をつくるためにオメガである僕を金で買う。僕だって金が必要だった。これは正当な取引だ。そう自分に言い聞かせ、しっかりしろと自分の頬を軽く叩く。
いい加減覚悟を決めなければ。
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