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男の行動の意図が分からず動揺しているとその間にも男の手は動き続け、僕の頭に付いた髪飾りをぽいぽいと適当に引き抜いてはそこらに放る。
「ま、待って。それ、壊れたら弁償出来ない、聞いてますか!」
「静かにしないと人が来るぞ」
「それで困るのはあなたでしょう」
「だから静かにしろと言っている」
「だからどうして偉そうなんですか」
なんて言っていると胸の圧迫感がすっと無くなった。視線を下に向けるとあれだけきっちり巻かれていた帯がするすると床に落ちるところだった。
「あぁ、お、帯まで」
「全部脱がせるんだから当然だろう」
「は、はぁ?どうして?」
合わさっていた着物の布が左右に開き、その間から自分の肌が露わになってようやくハッとする。
「まさか僕、襲われてるんですか」
「はぁ?」
「え、いや、こいつは何を言っているんだという顔をされても僕だってあなたが何をしたいのか分かりませんよ!」
「そこの飾り、高そうだろう」
言われて彼が投げ捨てた飾りに視線を向けると肩にかかっていた着物がするりと落ちる。自分の体に視線を戻すと残っているのは下着一枚のみになっていた。
「この着物だって買ったら高そうだ」
「盗むんですか」
「違う。盗んだら怒られるだろう」
「怒られるだけで済む訳が無いでしょう、その花嫁衣装は着物と飾り総額で確か何百万とかするって」
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