芯まで愛して

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 声を荒げる榛名が、本当は彼なりに甘えているのを、この頃ようやく涼一は理解した。 「若さを取り戻すには恋をするのが一番だよ。それと適度な運動もね」  後ろから抱き付いたまま、榛名を押すように前に進む。俯いた榛名の表情は分からないが、促されるまま寝室に入ってくれたのが嬉しい。今夜も誘導成功だと、涼一はひっそり笑みを浮かべた。 「ちょ、ちょっと待った。すぐ戻る」  何かを思い出したらしく、榛名はするりと涼一の腕を抜け出し、部屋を出て行った。  もしや気が気が変わって本格的にへそを曲げたのかと心配した涼一は、こっそり寝室から顔を出し、外を窺う。  どうやらキッチンで何か飲んでいるらしい。小さな瓶を真上に持ち上げて一気飲みすると、とてつもなくまずそうな顔をした。正直な表情に、涼一はにやりとしてしまう。  榛名は味を打ち消そうとしているのか、コップで水をごくごく飲んだ。そこで涼一はベッドに戻り、何気ない風を装って待つ。 「喉が渇いたから……」  いつもはしない言い訳をしながら、榛名は寝室に戻ってくると、ベッドに腰掛けた涼一の隣にすとんと腰を下ろした。  涼一はわざと黙ったまま、じっと榛名が何か言うのを待った。 「えーと、その……するか?」     
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