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原案(あらすじ)
目覚めるとそこは屋外階段の踊り場だった。
爽やかな朝と対照的に、変な衣装を着て派手な電飾を体中に巻きつけている男の名前はヤス。
スマホを取りだし、何かを確認する。
「ちっ、2位か」
空を仰いでつぶやいた。
こんな生活をもう半年、続けている。
日本有数の金持ちらしいジジイが開設したHPがきっかけだった。
ジジイの名前は忘れた。どうせ本名ではないだろう。
病気で余命わずかというジジイが、全財産をかけてゲームをすると言い出したのだ。
簡単に説明すると、ルールはこんな感じ。
・国内在住であること
・参加者本人が屋外階段で寝ている様子を第3者がツイッターに上げ、ジジイが息を引き取った時刻に、同日に投稿したツイッターの中で最も「いいね」がついていた者に全財産を与える
バカバカしい。
ジジイの素性も明かされていないし、イタズラかもしれない。
でも嘘にしてはやりすぎだ。
真偽はどうあれ、世間を騒がせるには十分なインパクトだった。
直後からツイッターは屋外階段で寝る人の写真で埋まった。
お調子者の学生、真面目なサラリーマン、グループで参加する人。
かわいい寝顔の子どもは、親にお願いしたのだろうか。
巷をにぎわせた話題も、時間と共に飽きられてきた。
一方、本気で取り組む者もいて、その数は絞られてきた。
40代サラリーマン・桂
女子大生・ユリナ
佐伯夫妻
お笑い芸人・コヨーテ横手
など。
そんな中の1人がヤスだ。
仮装をしたり、イベントをしたり。
各自、工夫を凝らして毎日のように1位を目指す。
頑張るレギュラーメンバーをよそに、初めて投稿した人が1位になる日もあったりして、一日たりとも気が抜けない。
遺産を手にするのはだれか。
ジジイは何者なのか。というか、そもそも存在するのか。
各自の思惑を胸にゲームは進む。
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