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「まさかピラミッドにゴンドラがあるとは」
思ってもみなかった。
「ひょっとして王様の通り道だったりして……」
「すると、直接王の間に出るのか?」
「いやいや、まさかぁ……」
はっはっはっ。護衛人たちが、から笑いをしたその時。
ガゴンッ……
ゴンドラが止まった。下の階と同じように壁の松明が自動的に燃え上がる。目の前の壁には何もなかったが、左側に上と下の中央を除いた、うっすらと繋ぎ目のある大きな壁があった。隠し扉だ。
「へー、回転扉か。壁の状態と大きさからして出てすぐの向こう側の罠の確立は少ない…と、すると…」一旦声を切ってから皆に声をかける。
「全員で押すぞ」
ゴリゴリ音を立てて回転した扉の向こう側には、
「やっと来たか、竜の子らよ。待ちくたびれたぞ」
1人の男が優雅に立っていた。腰までの長い髪と褐色の肌に蛇のような瞳。引き締まった身体は透けているがきちんと白い布の服を着ている。生きていたらさぞ女性たちに慕われたであろう色男だった。
「はっ!??」
「あんた、誰だ??」
「やだ!イケメン!!」
「透けてるぅっ!??」
「ギャーッ!!」
「出た---っ?!」
皆一様に叫び出す。
「ハッハッハッハッ!驚いたな!!」
からからと大笑いした男は続けた。
「私は第116番目の王、蛇王メレセグルだ。よろしくな!」
6人は静まりかえった。
「お、う……??」
誰かが呟いたのを皮切りに皆一斉に叫び声を上げた。
「…え、えええええーーーーっ……!!!?」
「竜の子と一緒に生まれる子供が私の供養をしてくれるという預言があってな。かれこれ300年程待っていたのだ」
嬉しそうににこにこしながらメレセグルは言った。
300年もよく待てたものだ。律儀なのか、
気が長いのか。古代人はよくわからない。
「そういえば竜の年の生まれはドラゴだったわね」
ペシェの言葉を聞いたおれは、また、だと思った。
おれの運次第で物事が重なって起こる出来事が頻繁にある。
礼拝堂からの依頼内容。ガイドから渡された古銭。壁の先には古代人の王様。王様が聞いた預言。竜の年に生まれたおれ。
バラバラのパズルのピースが1つのものを作り出しているが、何の形を作り出しているのかわからない。いつもそんな感覚がある。
おれに起きていることなのに、おれが一番わからない。
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